近代哲学、資本主義、人間存在の未来
コース名
近代哲学、資本主義、人間存在の未来
担当教員
⽵⽥ ⻘嗣
必修/選択
必修
配当年次
一年次・前期
単位数
2単位
授業の目的
ヨーロッパで誕⽣し、グローバリゼーションの加速によって全世界に浸透した資本主義経済システムは、先進国のみならず途上国の⼈々に物 質的な豊かさをもたらしている。⼀⽅で、システムは、各国内での格差 の拡⼤や、資源の消費や気候変動等による持続可能性への懸念といった 負の側⾯を世界規模で顕在化させている。
この科⽬では、資本主義の⼈類史における意義を、⻄洋近代という枠 組みを通して考察する。⻄洋近代は、⼈類の歴史において⾰命的な出 来事であるが、そこでは、経済システムである資本主義は、政治社会 システムである⺠主主義と対をなしている。そして、この経済社会シス テムを設計したのが、近代⻄洋思想(ロック、ルソー、ヘーゲルといっ た⼀連の近代哲学思想)である。
⻄洋近代の本質を近代⻄洋哲学・思想から紐解くことで、私たちが慣れ 親しんでいる経済社会システムの⼈類の歴史上における意味と意義を 掘り下げ理解することが、この科⽬の⽬的である。その考察にあたっ ては、⼈間存在のありうる姿、とりわけ、⼈間が「⾃由」でありうる条件に焦点を当てる。その上で、現在のグローバルな経済社会システムが 抱える課題と対峙し、新たな未来を切り開く原理の可能性を探る。
学修の到達目標
- ⻄洋近代と、その経済社会システムの形成過程を紐解く。⻄洋近代 の構成要素である資本主義と⺠主主義の相互連関に焦点をあてながら、⻄洋近代の本質を理解する。
- 経済社会システムの成⽴に⼤きな影響を与えた、近代⻄洋思想の系 譜(アダム・スミス、カール・マルクス等)とその理論的枠組みを 学ぶ。
- 同時に、⻄洋近代がもたらした⼈間存在の変容を理解し、⼈間哲学 (プラトン、ヘーゲル、ニーチェ等)が提起する⼈間の存在の本質 を学ぶ。
- その上で、現在の経済社会システムが内包する光と影から、⼈間存 在の本性を洞察する。
- 多様な経済社会システムが未だ混在する世界の現状を俯瞰した上 で、⻄洋近代の正当性を改めて考える。
- 世界の多様性の評価と⼈間存在の本性の理解をベースに、今後⼈類が歩むであろう未来に関して、私たち⼀⼈ひとりが問題意識とビ ジョンを持ち、未来を担うリーダーとしての挑戦を明確化する。